• "ひろしま観光立県推進基本計画"(/)
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  1. 広島県議会 2022-09-04
    令和4年9月定例会(第4日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 令和4年9月定例会(第4日) 本文 2022-09-22 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 30 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長中本隆志君) 選択 2 : ◯議長中本隆志君) 選択 3 : ◯伊藤真由美選択 4 : ◯議長中本隆志君) 選択 5 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 6 : ◯議長中本隆志君) 選択 7 : ◯土木建築局長上田隆博君) 選択 8 : ◯議長中本隆志君) 選択 9 : ◯教育長平川理恵君) 選択 10 : ◯議長中本隆志君) 選択 11 : ◯副議長中原好治君) 選択 12 : ◯坪川竜大君 選択 13 : ◯副議長中原好治君) 選択 14 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 15 : ◯副議長中原好治君) 選択 16 : ◯農林水産局長(大濱 清君) 選択 17 : ◯副議長中原好治君) 選択 18 : ◯土木建築局長上田隆博君) 選択 19 : ◯副議長中原好治君) 選択 20 : ◯議長中本隆志君) 選択 21 : ◯窪田泰久選択 22 : ◯議長中本隆志君) 選択 23 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 24 : ◯議長中本隆志君) 選択 25 : ◯総務局長(岡田芳和君) 選択 26 : ◯議長中本隆志君) 選択 27 : ◯健康福祉局長(木下栄作君) 選択 28 : ◯議長中本隆志君) 選択 29 : ◯教育長平川理恵君) 選択 30 : ◯議長中本隆志君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十一分開議 ◯議長中本隆志君) 出席議員五十七名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第六六号議案         至第三十三 報第二四号 2: ◯議長中本隆志君) これより日程に入ります。日程第一、県第六六号議案 令和四年度広島県一般会計補正予算から日程第三十三、報第二四号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  昨日に引き続いて質問を行います。伊藤真由美君。         【伊藤真由美君登壇】 3: ◯伊藤真由美君 皆さん、おはようございます。自由民主党広島県議会議員連盟、安芸郡選出の伊藤真由美です。今次定例会に質問の機会を与えていただき、中本議長をはじめ、先輩、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。  最初の質問は、ケアラーの現状と課題についてお伺いします。  最近は、ヤングケアラーという言葉をテレビや新聞などで目にする機会が増えました。ケアラーとは、心や体に不調のある人の介護、看病、療育、世話、気遣いなど、ケアの必要な家族や近親者、友人などを無償でケアする介護者のことを示しています。そして、ヤングケアラーは、こういった本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている十八歳未満の子供とされています。  実は、こうした言葉は、法令上の定義はありません。現在の日本にはケアが必要な人、いわゆる要介護者のための法制度はありますが、家族など介護者であるケアラーを支援するための法制度はないのです。ケアラーの実態は、厚生労働省の令和元年国民生活基礎調査の概況によると、要介護者、介護者ともに六十五歳以上の老老介護の割合は約六割で、この割合は年々上昇傾向にあります。また、要介護者と介護者の両方が七十五歳以上である割合は約三割という結果であり、今後も高齢化が進むにつれて、この割合がさらに増えていくことが予想されます。  先日、ちょうどこの原稿を執筆中の朝、七十八歳の男性が妻の老老介護をしながら、介護とともにというテーマで妻の似顔絵などの絵画展をされていらっしゃるニュースが目に飛び込んできました。彼はその会場で、同時に介護の悩み相談会も開催されているとのことで、早速お伺いして、お話を伺ってきました。  にこにこと優しい笑顔の彼が話されるには、独りで孤立し日々の介護に疲れ果て、いらいらしたり不安や悩みを抱えているケアラーは、誰かに少しでも話を聞いてもらえることで、自分がそうであったように、少し心が軽く前向きになることができるそうです。現在はそのような場がないので、妻の介護を二十年経験していた自分が悩みを聞いてアドバイスすることで、少しでもケアラーの心身の負担が軽くなればという思いから、今回の絵画展と同時に相談会も開催されたそうです。また、要介護者には法があっても、ケアラーには特化した法がないことから、たとえ支援があってもばらばらで、周知もされていなかったりで、きちんとした支援につながっていない現状と、そのための法の必要性なども伺いました。  このように、日本では、まだまだ家族が介護をするのは当たり前という考えが根強く、ケアラーは家族から頼りにされる一方で、周囲に悩みを理解されず、心身に大きな負担を抱えている場合が考えられます。また、少子高齢化や核家族化の進展、家庭の経済状況の変化といった様々な要因に加え、家庭内のデリケートな問題であることや、本人や家族に自覚がないといった理由なども重なり、表面化しにくい構造となっています。  さらには、子育てと親の介護が同時期に発生するダブルケアや介護離職、遠方介護、ヤングケアラーなど、いろいろな生活上の課題が絡み合い、ケアラーが抱える問題は複雑化、多様化してきました。  そのため、ケアラーの約七割が悩みを抱えており、介護離職者数は年間十万人とも言われています。虐待や介護、看病疲れによる自殺、介護殺人など、様々な社会問題を引き起こしており、これらを見ても、社会的、政策的な支援が必要なことは明らかです。  このような中、埼玉県や茨城県、北海道などでは、ケアラーやヤングケアラーの支援を進めるための条例を制定し、全てのケアラーが個人として尊重され、健康で文化的な生活を営むことができる社会の実現に向けて、取り組まれています。  本県においても、ケアラーとその家族の方々が決して孤立することなく、健康で心豊かな生活を営み、将来にわたって夢や希望を持ち続けることができる社会を一刻も早く構築していかなければなりません。コロナ禍を経て、ケアラーと要介護者を取り巻く環境が大きく変貌する中、新たな視点でのケアラー支援の推進が求められているのではないでしょうか。  そこで、ヤングケアラーを含む家族等介護者について、現状と課題をどのように認識され、どういった対応をしようとされているのか、知事の御所見をお伺いします。  また、今後、高齢化がますます進展し、家族規模が小規模化の方向に向かっていく中、ケアラーにかかる負担は一層増大していくことが懸念されることから、特定の人にケアが集中しないよう家族全体を支えていく仕組みづくりが必要と考えますが、併せて御所見をお伺いします。
     次に、コミュニティースクールの推進についてお伺いします。  文部科学省では、今年度までに、全ての公立学校にコミュニティースクールが導入されることを目標に掲げており、今年度の調査によると、全国で、約四二・九%の公立学校にコミュニティースクールが設置されています。  コミュニティースクールとは、学校運営協議会制度を導入している学校のことです。このコミュニティースクールの仕組みをうまく活用することにより、地域とともにある学校への転換を図っていくことが求められています。  例えば、お隣の山口県では、県教育委員会内に地域連携教育推進課を設置し、県内全ての市町教育委員会にコミュニティースクール推進の核となる専門人材である山口コンダクターを配置するほか、校長や教頭などの管理職選考の要件としてコミュニティースクールによる学校づくりの視点を導入するなど、オリジナルの取組を行われており、その結果として、令和二年四月に全国に先駆けて県内全ての公立学校がコミュニティースクールとなり、それぞれの校種の特性を生かした取組の充実に加え、校種間連携や地域との協働による山口県ならではの取組が展開されています。  広島県においては、全ての県立学校にコミュニティースクールが導入されていると伺っていますが、その一方で、市町立の小中学校などを含めた全ての公立学校の導入率は、今年度五月一日現在では、五六・八%となっています。いまだに導入が進んでいない自治体において課題になっているのは、予算の確保や担当人員の不足のほか、導入に当たってのノウハウやプロセス、また、導入した際のメリットが市町の教育委員会や学校現場に届いていないことが大きな要素として考えられます。  また、導入後においても、せっかくの仕組みが、絵に描いた餅に終わることがないよう、しっかりと立ち上げ後のフォローアップを行っていくことも重要です。  私の地元の熊野町においても、令和二年度に全ての学校がコミュニティースクールとなっておりますが、先月、熊野町におけるコミュニティースクールの研修会に参加させていただきました。そこでは、地域とともに学校で育つ子供の姿に向けて、熊野町の子供たちをどう育てたいか、今できることを、小中学校の先生方と地域の方々が一緒になってワークショップを開催されていました。熱心に協議される様子を伺い、この取組に関する多くの関係者の皆さんの期待や関心の強さを改めて実感しました。  広島県の未来を開く子供たちの育成のためにも、本県教育の方向性として、県内全ての公立学校へのコミュニティースクールの積極的推進を図っていただくこと、特に、導入の遅れている市町立の小中学校への働きかけを強化していただきたいと思いますが、県教育委員会として具体的にどのような方向で取組を進めていかれようとしているのか、今後の取組の方向性について、教育長に伺います。  質問の第三は、渋滞対策に資する安芸郡地域の道路整備の推進について、二点お伺いします。  まず、坂町地域における一般国道の道路整備の促進についてお伺いします。  国道三十一号は、安芸郡海田町大正交差点を起点とし、矢野、坂を通過して呉市へ向かう一般国道です。平成三十年七月六日の豪雨により、坂町水尻で大規模な土砂災害が発生し、広島呉道路と国道三十一号は大きな被害を受けました。その際、国道三十一号の通行を早期に回復するために、道路に併設する県が管理するベイサイドビーチ坂の駐車場を迂回道路として提供され、被災後一週間を待たずに仮復旧され、機転を利かせた迅速な判断に驚いたことは、今でも記憶に残っています。  一般国道三十一号については、その際にも渋滞が顕著に現れましたが、災害が復旧した今も、県内で八十六か所ある主要渋滞箇所の一つである坂町の東部流通団地入口交差点を含み、片側一車線であるJR坂駅から県道矢野安浦線の熊野分かれの区間については、慢性的な渋滞が発生している状況です。日々の通勤、通学、経済活動や災害時の代替路線の確保の観点からも、社会基盤となる幹線道路の適切な整備は喫緊の課題です。  そこで、渋滞緩和に資する一般国道三十一号の整備について、地元自治体などの御要望も踏まえ、県としても、道路管理者である国土交通省に強く働きかけるなど、前向きに取り組んでいただきたいと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  次に、主要地方道矢野安浦線熊野バイパスの整備についてお伺いします。  矢野安浦線の平谷交差点においては、広島熊野道路の料金徴収期間満了に伴う無料開放により交通が転換することに加え、渋滞対策として交差点改良工事が実施されたことから、広島県道路交通渋滞対策部会の了承を経て、主要渋滞箇所ではなくなりました。  私を含め、地域の利用者は、より安全で便利な道路を毎日無料で通行できるようになり、この間、御尽力いただいた県の皆様に感謝いたしますとともに、引き続き、大切に利用させていただきたいと思います。  現在、その先の熊野バイパスについても、事業を進めていただいており、周辺住民も早期完成を大変期待しております。  熊野バイパスは、令和三年八月までに熊野町の川角交差点から一般県道瀬野呉線の約一・一キロメートルが供用開始され、交通の円滑化だけではなく、沿線地域の活性化など、整備の効果を感じていますが、一方で、未整備の現道区間については、最近大変な慢性的交通渋滞に町民は悩まされています。一たび交通事故などが発生した場合には、広域迂回を余儀なくされ、渋滞影響が長時間に及ぶことが考えられます。また、この路線は東広島・呉自動車道の全線開通に伴い、広島空港とJR広島駅を結ぶリムジンバスの迂回ルートとしても位置づけられたことから、広域的な道路ネットワークとしての役割は、より一層重要なものとなっています。  そこで、改めて、県が認識する矢野安浦線熊野バイパスの整備効果や、今後の整備推進に向けた思いについて、知事にお伺いします。  この質問の最後に、県道矢野安浦線の整備につきましては、三村熊野町長が会長を務められ、関係市町や議長で構成する県道矢野安浦線整備促進協議会からも御要望があったかと思います。地域住民の慢性的交通渋滞の解消という切実な声をお聞きいただき、熊野バイパスの早期整備の実現をお願いし、次の質問に移ります。  県庁本館の玄関先に、ちょうど今、かわいらしい横断幕が垂れ下がっています。九月二十日から二十六日までの一週間は動物愛護週間です。  先週のことになりますが、動物を愛する議員の会メンバーの議長をはじめ、三十一名でおそろいのブルゾンを着て、新動物愛護センターの建設現場を視察させていただきました。まだ、建物本体の工事には着手されておりませんが、実際に皆さんと一緒に造成中の広い敷地をこの目で見て、これから建てられる建物や設備の配置、そして、新たに追加される機能や役割などの説明を聞くことで、ますます新センターへの期待が高まりました。  その際、現在の社会情勢変化の影響を大きく受けて建築資材の供給不足から、当初、来年四月と見込んでいた供用開始見込みが八月になる予定と御説明がありました。その分、準備期間がしっかり取れるわけですし、オープンまでに万全の体制を整えていただきたいと思います。  そこで、新動物愛護センターに関して、二点お伺いします。  一点目は、新動物愛護センターで命の大切さを学ぶ機会の創出と、周辺施設と連携したにぎわい活性化の取組についてお伺いします。  これから将来にわたって、動物の殺傷、虐待、遺棄、飼育放棄などの行為をなくすためには、今からすぐ、十年後には犬猫を飼養する主体的立場となる子供たちに、動物のかわいさや一生飼っていくことの心積もりを教えていくことがとても大切だと思います。  そのために、このセンターを活用して、人間の勝手な都合や虐待で捨てられた犬猫たちがここで新しい飼い主を待っていることを、児童生徒が現実を見て、それではどうしたらいいのか自分で考えることが重要だと考えます。現在学校でSDGsを学んでいる彼らに、社会の課題解決授業にも最適だと思いますので、ぜひ多くの園児、児童、生徒に新動物愛護センターに来館していただき、動物を慈しむ心を育み、命の大切さを学んでいただきたいと思います。今後は、学校の社会見学や総合学習授業に取り入れるといった活用を検討されてはいかがでしょうか。  さらに、最近では、ドッグランのみならず、ペットと飼い主が共に楽しめるスポーツ、アジリティーが人気です。人を集めるためにも、ネーミングライツを公募すると聞いております広い芝生広場を活用して、アジリティー全国大会や譲渡会を開催されるのも、非常に効果があると思います。  また、ほかでは見られない様々に工夫された建物の特徴を生かすことも有効だと考えます。例えば、談話室やロッカーをボランティアに使い勝手のよい仕様とすることで、ボランティアにもたくさん来ていただき、お洗濯やシャンプー、グルーミングなどお手伝いいただけるのではないでしょうか。一見何でもないようなことですが、一度ボランティアに参加してみようかしらと思われる方を来訪しやすくすることこそ、実は一番大切なことなのです。  また、今回現地を視察してみて、改めて周辺施設との連携が期待できると思いました。視察先では、今度の新センターは土日も開園を検討される予定との御説明もありました。最近では、犬と一緒に宿泊できるグランピンングも大変な人気ですが、新センターのお向かいには、犬猫も一緒に泊まれるコテージを備えたフォレストヒルズガーデンや三景園、両隣にはドッグランを備えた中央森林公園や、クリームパンで有名な八天堂もカフェテリアや空の駅を併設オープンされていました。今後、これらの施設と連携して、ワンニャンビュッフェや肉球クリームパンなどユニークなコラボレーションも期待できると思います。議連としてもみんなで盛り上げていきたいと考えていますが、動物をテーマに周辺施設と連携したイベントや企画をされてはいかがでしょうか。  そこで、より多くの方に動物を慈しむ心を育み、命の大切さを学んでいただくためにも、社会見学やネーミングライツを予定される芝生広場を活用したにぎわいの創出で、多くの方が新動物愛護センターに来場する機会を提供するとともに、周辺施設と大いに連携してにぎわい活性化を進めていく必要があると思いますが、どのような取組を進めていこうとされているのか、知事の御所見をお伺いいたします。  二点目は、新動物愛護センターにおける動物福祉への配慮についてお伺いします。  本県では、平成二十三年に犬猫の殺処分頭数で全国ワーストワンとなって以来、今日まで、県やボランティアによる官民連携を協力に推し進めたことで、平成二十八年から現在にかけては一匹も炭酸ガス室による殺処分は行われていません。それは、センターに保護されても老犬老猫、けがや病気、人間に懐かないため、愛護センターで譲渡ができなかった犬猫の終生飼養を、最終的に引き受けていただける保護団体の協力があるからにほかなりません。  そこで、今回、現地視察の二か所目は、その大きな保護団体の一つ、犬猫みなしご救援隊を訪問してきました。建物内に入ると、事故や人間による虐待で治療や介護の必要な猫たちの部屋と、元気な猫たちの部屋はそれぞれ階が分かれていて、治療が必要な猫たちの部屋では、顎がなくなってしまった猫も治療されて、一匹ずつ大切に面倒を見られていました。元気な猫たちの部屋に入ると、じゃれてきたり、グウグウ寝ている猫など、皆、不妊去勢とワクチンを施され、おいしい御飯を食べて、けんかすることもなく穏やかに暮らしていました。現地スタッフの明るく前向きに大切にお世話されている様子を拝見して、帰りのバスの中では、小さな命の貴さや保護団体への感謝の話をしながら帰路につきました。  改めて、今後は新センターで一匹でも多く里親に出せるよう、さらに譲渡促進の取組を充実させる必要性を感じました。  さて、動物愛護センターでは、けがや病気で保護された犬猫の医療処置はもちろんのこと、不妊去勢やマイクロチップを施した上での譲渡などに取り組まれておられますが、新センターでは、さらに充実した機能を備えた手術室や診療室が整備される予定と聞いております。今年度から新しく愛玩動物看護師の国家資格が設けられますので、こうした資格を持つ方の力を活用することも考えられるのではないでしょうか。  そこで、新しく生まれ変わる新動物愛護センターでは、充実した機能を備えた手術室や診療室の機能を十分に活用するなど、これまで以上に動物福祉に配慮して業務を進めていく必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いします。  質問は以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 5: ◯知事湯崎英彦君) まず、ケアラーの現状と課題についてお答え申し上げます。  家族等介護者につきましては、昨年実施した県内市町に対するアンケートや、国や他県、県内市町の調査などから、過度な介護負担により、日常生活や就業、学校生活などに支障を来している方がおられることが浮かび上がってまいりました。  これらの調査を通じて、相談先が分からない等の理由により、相談・支援機関につながっていないケースがあること、とりわけ、ヤングケアラーについては、本人や家族にその自覚がないこと、支援機関同士の横の連携の不十分さなどから、家族の状況を踏まえた必要な支援が届いていないことなど、多くの課題があると認識しております。  このため、家族介護教室の開催や介護用品の支給といった介護負担を軽減するための支援に加えまして、地域包括支援センターをはじめとした相談窓口の周知や、家族の負担にも配慮した適切なケアマネジメントの実施に向けたケアマネジャー等の人材育成の強化、支援機関同士の連携・強化を促す地域ケア会議へのアドバイザー派遣といった取組を行うことで、市町と連携して、家族等介護者への支援を進めております。  加えて、ヤングケアラーにつきましては、国の動画やポスター、リーフレットによる啓発や、県が作成した啓発動画の教職員研修での活用などに取り組んでおり、現在実施中のスクールソーシャルワーカーへのインタビューを踏まえて、これらの取組がより効果的なものとなるよう、引き続き検討してまいります。  今後とも、家族等介護者が周囲から孤立することなく、仕事や学業と両立しながら、介護を継続できるよう、福祉、介護、医療の現場に加え、職場や学校、市町を含めた関係者が連携し、家族全体を支える取組の強化に努めてまいります。  次に、新動物愛護センターで命の大切さを学ぶ機会の創出などについてお答え申し上げます。  新動物愛護センターの整備におきましては、「広島県動物愛護管理推進計画」に掲げております、人と動物との調和の取れた共生社会を実現するため、動物の命の貴さを学ぶ場としての機能を充実させるとともに、にぎわいをつくり、多くの県民の皆様に来場していただくことが重要と考えております。  そのため、コンセプトの一つとして、命のことを学べる施設を掲げ、動物に関する物語や図鑑、絵本などを集めた図書コーナーや、しつけ方教室などにおいてペットと一緒に入室できるよう、動物に配慮した床材を使用した研修室を設けることとしております。これらを活用いたしまして、園児、児童、生徒向けの取組として、動物愛護教室や施設見学会、夏休みなどを利用した親子教室などを実施することとしており、中央森林公園や周辺の民間企業と連携して、学校の遠足や社会見学に取り入れていただくといった新しい取組につきましても、検討しているところでございます。  また、もう一つのコンセプトといたしまして、人が集まる施設を掲げ、県が行う普及啓発事業に加えて、PFI事業者のほか、動物愛護団体、ボランティア等をはじめ、周辺企業とも連携し、飼い主と愛犬が一緒にタイムを競う障害物競争であるアジリティーの開催、動物愛護に関連したグッズの販売、キッチンカーによる飲食の提供、動物愛護団体やボランティアと連携した譲渡会や写真展などを計画しており、週末にこういったイベントを開催するなど、動物愛護センターのにぎわいの創出を推進してまいります。  このような取組を契機として、多くの県民の皆様が動物愛護センターを訪れ、動物愛護及び適正飼養に関心と理解を深めていただき、動物の命を尊重する精神が醸成されるよう取り組んでまいります。  次に、新動物愛護センターにおける動物福祉への配慮についての御質問でございます。  令和五年八月に開庁予定の新動物愛護センターは、中央森林公園の自然と調和する木造建築を採用し、犬と猫たちの家をコンセプトに、例えば、検疫室や隔離室など、感染症対策のための諸室を整備、犬と猫の収容場所は明確に分けてストレスを軽減、収容施設は運動スペースを含む十分な面積を確保するなど、動物福祉に配慮した施設となっております。  また、診療室や手術室などにつきましては、動物医療に係る設備を備えることとしており、病気やけがをして収容された動物の治療に取り組むとともに、今年度から新たに国家資格となりました愛玩動物看護師の活用なども含め、動物の命を救うための施設として十分にその機能を発揮できるよう、職員の専門知識及び技術の向上にも取り組んでまいります。  新動物愛護センターにおきましては、適切な飼養環境、衛生状態を維持し、動物の健康を確保するとともに、収容時点では人になれていない犬や猫についても、人と動物との調和の取れた共生社会の一員となるよう、一頭一頭に向き合って、これまでより、一層動物福祉の向上に努めてまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 6: ◯議長中本隆志君) 土木建築局長上田隆博君。         【土木建築局長上田隆博君登壇】 7: ◯土木建築局長上田隆博君) 私からは二点の御質問に対してお答えいたします。  まず、坂町地域における一般国道三十一号等の道路整備の促進についてでございます。  一般国道三十一号につきましては、海田町を起点として坂町を経由し、呉市に至る幹線道路であり、広島呉道路とともに広域的な交流・連携を支える重要な道路であると認識しております。  広島呉道路につきましては、平成三十年七月豪雨災害により長期間の通行止めが発生したことを踏まえ、災害に強い道路ネットワークの構築に向けた四車線化が決定され、現在、全線にわたり工事が進められているところでございます。  一方で、一般国道三十一号につきましては、JR坂駅から熊野分かれ交差点までの片側一車線の区間において、交通量も多く、交差点が連続していることから、朝夕の通勤時間帯に慢性的な渋滞が発生しており、これまで、国、県、関係市町において、その対策について議論を重ねてまいりました。  こうした中、令和二年度から、国におきまして、総頭橋交差点を含めた付加車線設置などの改良事業に着手され、現在、調査設計が進められております。  県といたしましては、引き続き一般国道三十一号の慢性的な渋滞の解消に向け、これらの事業の早期完成が図られるよう、道路関係者等で構成する渋滞対策部会など、あらゆる機会を通じて、国に対し強く働きかけてまいります。  次に、主要地方道矢野安浦線熊野バイパスの整備推進についてお答えいたします。  主要地方道矢野安浦線は、熊野町及び東広島市黒瀬町を経由し、広島市安芸区矢野と呉市安浦町を結ぶ主要な幹線道路であるとともに、広島高速道路と東広島・呉自動車道を連絡し、高速道路網を補完する重要な路線でございます。熊野バイパスの整備効果につきましては、中四国の拠点空港である広島空港へのアクセス強化、国際拠点港湾である広島港への物流の効率化、現道における朝夕の慢性的な交通渋滞の解消が図られるとともに、災害時には緊急輸送道路として、迅速な救命活動や物資の輸送等に寄与するものと認識しております。  現在、一般県道瀬野呉線から阿戸分かれ交差点南側までの約一・三キロメートルのバイパス区間を事業化し、道路詳細設計やボーリング調査などを実施しており、今後、速やかに地元説明会を行い、用地買収に着手してまいります。  県といたしましては、現道における慢性的な交通渋滞や、長年にわたる地元の皆様の強い要望を踏まえ、引き続き、熊野町と連携し、地元の皆様の御理解と御協力を得ながら、早期の全線開通に向けて、着実に事業が進むよう積極的に取り組んでまいります。 8: ◯議長中本隆志君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 9: ◯教育長平川理恵君) コミュニティースクールの推進についてお答えいたします。  コミュニティースクールは、学校と地域それぞれが当事者として同じ目標を持ち、地域の教育力を生かして、児童生徒の教育活動等を一層充実させていく仕組みでございます。  また、学校を核とした地域づくりを推進することにより、人生百年時代における生涯学習の場として、住民一人一人の活躍の機会が創出され、地域に活力が生み出されることから、広島県においても、全市町における導入を目指して、取組を進めているところでございます。昨年度、市町の取組と併せて、県教育委員会では、訪問指導、研修会への講師派遣などの取組を進めたところ、令和四年度には県内公立学校における導入率が二九・五%から五六・八%へと上昇しております。  これまでも、導入が遅れている市町に対しましては、コミュニティースクールの推進に関する専門家を派遣しているところであり、今後は、コミュニティースクールの利点を明確にイメージできるよう、市町教育委員会の担当者等を対象に、地域の力を生かして充実した教育活動を実践している先進地域への視察を行うなど、導入に向けた支援の強化を図ってまいります。  こうした市町の状況に応じた支援を行うことにより、着実にコミュニティースクールの増加を図り、コミュニティースクールを核として、地域と学校の連携・協働体制を一体的に推進し、社会総がかりで教育の実現を目指してまいります。 10: ◯議長中本隆志君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時十六分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時一分開議 11: ◯副議長中原好治君) 出席議員五十七名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。坪川竜大君。         【坪川竜大君登壇】 12: ◯坪川竜大君 自由民主党広島県議会大志会の坪川竜大でございます。今次定例会におきまして一般質問の機会を与えてくださいました議長をはじめ、先輩、同僚議員に御礼を申し上げます。  本日は、地元呉市から駆けつけていただいた方々にも傍聴していただいております。皆様のお力こそが私の政治活動の原動力となっております。心から感謝申し上げます。  さて、新型コロナウイルスは、次々と変異を繰り返し、いまだ収束の気配を見せておりません。一昨年の生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学・政策プラットフォーム──IPBESの報告によりますと、人に感染し得る未知のウイルスは、推定で最大八十五万種類存在するとされています。  今後も、こうした新興感染症等のリスクに恒常的に備えていかなければならない中、さらに、ロシアのウクライナ侵略、それに伴うエネルギー、食料価格の高騰など多くの課題に直面しており、まさに日本は国難とも言える危機的状況にあります。  こうした中、本県にとって重要なことは、科学技術、イノベーション、カーボンニュートラルや経済安全保障などを成長戦略と位置づける政府の動きにしっかりと対応していくこと、そして、ウイズコロナ、アフターコロナを見据えた社会経済の発展的回復のために、何をすべきかを考え、今から準備することであります。  これらの観点から質問させていただきますので、知事をはじめ、執行部の皆様には真摯な御答弁をお願いいたします。  まずは、グリーントランスフォーメーション──GXの推進についてであります。  日本は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする二〇五〇年カーボンニュートラルを、一昨年宣言し、昨年四月には、二〇三〇年の温室効果ガスの削減目標を二〇一三年度比で四六%削減すると表明しました。  あわせて、経済産業省は、「第六次エネルギー基本計画」において、二〇三〇年度の日本の電源構成を見直し、再生可能エネルギーの占める比率を二〇一九年の実績一八%の二倍以上となる三六から三八%に設定しました。  こうした動きを踏まえて、本県も、削減目標を見直して温暖化対策の強化を図るため、今年度、「広島県地球温暖化防止地域計画」等を改定することとしています。  このように持続可能な社会に向けて、世界的な脱炭素社会構築の動きが急速に進む中、本年二月、ロシアがウクライナへの侵略を開始し、いまだ戦火はやんでおりません。  ロシアの暴挙に対するG7による経済制裁として、ロシア産石油の禁輸などを行った結果、エネルギー不足の懸念が生じています。特に、G7の中では日本はエネルギー自給率が最低で、大部分を輸入に頼っていることから、エネルギー安全保障の問題に対する危機感が急速に高まっています。温暖化防止に加え、地政学リスクからもエネルギー源の多様化が求められることで、再生可能エネルギーへの期待が一層高まる状況となっています。  こうした課題を抱える中、政府は、新しい資本主義に向けた改革の重点投資分野として、グリーントランスフォーメーション──GXヘの投資を掲げました。GXとは、産業革命以来の化石燃料中心の経済社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体を変革することと定義されています。GXは、脱炭素、エネルギーの安定供給という課題への解決策であるとともに、我が国の経済対策として非常に大きな成長分野となっていくと私は考えています。  私の尊敬する政治家であり、我が家とも親交のあった橋本龍太郎先生は、大蔵大臣時代、平成三年のロンドンサミットで、未然防止的な環境政策はよい経済政策でもあること、直面する地球温暖化対策への早急な取組が必要なことをレポートにして配り、訴えられていたそうです。  三十年以上前に、そうした経済と環境の統合への積極的な提言がなされていたことを知り、私たちに課せられた役割を感じずにはいられません。  景気をよくしていくには、需要が十分になければならないことは間違いありませんが、供給サイド、つまり、労働力や資本を支えている技術革新や生産性の上昇がなければ、需要サイドを幾ら刺激しても、経済成長には限界があります。  これからの経済対策は、従来の需要偏重型から転換することが必要であり、そういった意味でも、GXは非常に有効なものと考えます。
     政府は、早速七月からGX実行会議により検討を始めており、年内にロードマップを取りまとめ、今後十年間で百五十兆円超の投資を行うこととしています。  投資の内容は多岐にわたると考えられますが、私は特に、燃焼時にCO2を排出しないという特性を持つ燃料アンモニアに注目しています。今ある石炭火力にアンモニアを混ぜて燃やしたり、アンモニア一〇〇%で火力発電する技術開発が、一部の企業で始められています。  先日の報道では、お隣の山口県で周南コンビナートにある四社が、二〇三〇年までにアンモニアを年百万トン超の規模で利用する国内初の体制を構築するとありました。本県も負けじとイニシアチブを取っていくべきではないでしょうか。  そこで、こうした国のGXへの投資の動きに対し、広島県としてどのようにかじを切っていこうとしているのか、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二は、県主導のサーキュラー・エコノミーの推進についてであります。  大量生産・大量消費型の経済社会活動は、大量廃棄型の社会を形成し、健全な物質循環を阻害するほか、気候変動問題、天然資源の枯渇、大規模な資源採取による生物多様性の破壊など様々な環境問題にも密接に関係しています。  こうした中、現在、サーキュラー・エコノミーへの移行が世界の潮流となりつつあります。サーキュラー・エコノミーとは、既存の資源や未利用資源を循環的に活用し続ける循環型経済システムのことです。過去にも3R──リデュース、リユース、リサイクルのように、廃棄物の再利用やリサイクルで資源を循環させようとする動きはありました。しかし、3Rのような環境活動だけでは経済への転換を図っていくことはできず、また資源が安定的に調達できるとも限らない時代になってきました。  そこで、資源を循環させることで持続可能な資源の調達を可能にし、自然環境にもよい影響という付加価値を加えたビジネスを生み出そうとする機運が高まっています。例えば、設計段階から解体後の再利用のことも考えた建築や、利用者が自分で分解することができ、カメラやディスプレイなどを交換、修理しやすい設計にしたスマートフォンなど、循環型の新たなビジネスモデルが生まれています。  本県でも、庄原市森づくり事業において、里山林整備として竹林の伐採及び整理による繁茂の防止がありますが、ここで出る不要な竹をチップとしてバイオマス発電などに活用することも循環型のビジネスモデル事業として可能性があります。また、カキのむき身生産量で過去何度も日本一を獲得している呉市では、未利用資源のカキ殻を活用し、パウダーをナノ化することで、コンクリート強化剤やサプリメントに配合するなど資源を循環させ、販路を拡大している成功例もあります。  このほかにも、サーキュラー・エコノミーにつながる潜在的な可能性は多くあるものの、一企業だけが取り組んでもその効果は大きく波及するものではなく、初期投資がかかるケースも多いことから、企業の動きが活発とは言えない状況にあります。  サーキュラー・エコノミー先進国のオランダでは、地域農家の生産物やオーガニックの食材など、サーキュラー・エコノミーに寄与しているほうが、補助金が支給されやすいことで、民間の活動が自然とそうした方向に向かうような仕組みをつくっています。また、官民の連携が欠かせないことを認識し、行政、企業、研究機関、住民間を取り持つ組織をつくり、情報共有、コミュニケーションの円滑化を進めています。さらに、オランダ政府はサーキュラー・エコノミーの一環として再生可能エネルギーの推進にも努めており、鉄道と路面電車は一〇〇%再生可能エネルギーで運行されています。  つまり、サーキュラー・エコノミーは経済システムの在り方を大きく変えるものであるため、そのシステムづくりは、行政が主導していかなければならないものと考えます。  それでは、本県の状況はどうでしょうか。本県でもゼロカーボン宣言をする市町が増えてきてはいるものの、自治体によって温度差があるのではないかと思います。  令和三年九月定例会において脱炭素推進の市町への働きかけについて質問しましたが、その後、県と市町との連携は進んでいないように感じます。  国内でも、北海道では、地域に存在するバイオマスを原料に、収集、運搬、製造、利用までの経済性を確保された一貫システムを構築し、産業創出と地域循環型エネルギーを強化しており、バイオマス産業都市として道内三十七市町村が選定されるなど、積極的な取組を行っています。  本県では、バイオマス産業都市に東広島市が選定されていますが、こうした取組の成果を他の市町に展開するといったことも、県が積極的に行っていくべきではないかと考えます。  オランダのグローバル企業のフィリップスは、サーキュラー・エコノミーに関する事業で全体収益の一五%を稼いでいるようです。  サーキュラー・エコノミーは、その完成に長い時間を必要とするものですが、完成すれば、非常に大きな規模の新たなる稼げる事業として確立できるチャンスを秘めていると思います。  そこで、県として市町との連携を進め、稼げる事業としてのサーキュラー・エコノミーの確立を県が主導的に推進していくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第三は、持続可能な農漁業の生産体制の構築について、二点お伺いいたします。  一点目は、食料安全保障が重要視される中での本県の農業についてであります。  我が国のカロリーベースの食料自給率は、昭和四十年には七三%ありましたが、昭和五十年代にかけて急勾配で下がり、その後なだらかに下落した結果、現在は三八%となっています。  かねてから、日本の食料安全保障は危惧されていましたが、今回のロシアのウクライナ侵略による穀物相場の高騰で、現実のものとなり始めています。既に、畜産用の飼料の確保や食料価格の上昇といった課題に直面しており、パンなどの食品価格への影響が懸念されているのは、御承知のとおりであります。仮に、日本の有事などによりシーレーンが封鎖され、輸入が断絶されれば、終戦直後のように米、芋だけになりかねません。  しかし、都市部の人間は、食料はお金を出して買えるものといった認識しかなく、こうした場合に流通メカニズムが崩れると、たちまちパニックに陥ってしまいます。課題解決のために、明日からしっかり御飯を食べるようにしてくださいと食料の消費構造を一気に変化させることを求めるのは現実的ではないでしょう。  したがって、国全体として、ポテンシャルを最大限活用して農業生産力を向上させることが急務であることは間違いありません。本来であれば、国として食料政策の全体構想を示し、食料安全保障を強化すべきではありますが、それもない現状では、各県がそれぞれ食料自給率の向上に貢献する取組を行うべきだと考えます。  本県のような食料自給率全国三十六位という県が、今から国の食料自給率をリードしていけるまで大転換することは現実的ではありませんが、本県のポテンシャルの中でできることはまだ十分にあると思います。  例えば、小麦や飼料作物などの生産振興をしてはどうでしょうか。特に、これまで、小麦は品質で外国産に劣るとされていましたが、ここ数年、品種改良したパンやラーメンにも向く国産小麦が次々に登場しており、国産小麦は脚光を浴びてきています。北海道以外にも、九州北部、北関東、東海などでも、品種の転換が着実に進展し、国産小麦の地産地消的な動きが出てきています。  また、人口減少で耕作放棄地の問題も深刻化しており、そうした課題に対応するためにも、小麦などへの転作で荒廃地をつくらないことは効果的であります。小麦などは広い土地を使う作物であり、農地保全にも寄与します。将来にわたって生産を続けられる農地を守っていくためにも、これらの作物を生産し続けることは重要なことであります。  そこで、本県は、食料自給率向上及び農地保全に寄与する小麦や飼料作物などの生産を振興し、食料安全保障に貢献すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  二点目は、瀬戸内海の貧栄養化問題への対策についてであります。  令和三年六月、瀬戸内海の沿岸府県がそれぞれの海域の実情に応じて水質を管理できるようにすることなどを盛り込んだ、瀬戸内海環境保全特別措置法──瀬戸内法が改正されました。  瀬戸内海では、かつて工場や家庭からの排水や開発が原因で窒素やリンが増え赤潮が頻発していましたが、規制を強化した結果、これらの濃度は大幅に低下しました。一方、窒素やリンは、プランクトンの栄養にもなることから、地域によっては養殖ノリの色落ちなど、漁業に悪影響を及ぼすケースも出てきました。  こうした状況を受けて、改正瀬戸内法では、窒素やリンなどの栄養塩類の濃度を高めることも可能にした上で、沿岸の府県がそれぞれの海域の実情に応じて濃度の目標値を設定できるとしています。  今年三月の予算特別委員会でも触れましたが、広島市の海においては、水深十四メートルの箇所でも七メートルまで透き通って見えているとのことです。通常、水がきれいであるというのは、植物プランクトンが少ない状況であり、そのことは魚類生産も低いことにつながります。  私が所属する水産振興議員連盟の意見交換の場でも、漁業関係者から、魚が捕れないとの声が毎回のように上がります。  水産資源の減少については、もちろん、漁獲、環境の変化などの要因もありますが、栄養塩類の低下による貧栄養化は、その要因として大きいのではないでしょうか。  現在、本県は、県内外の人に瀬戸内に訪れてまで食べたいと思わせるよう、瀬戸内地魚のブランド化を図る取組を行っており、これは大いに賛成いたしますが、タチウオのGI登録、オコゼなど、ブランド化しても魚が捕れないのでは意味がありません。  今回の九月補正予算において、栄養塩類と水産資源の回復の関連性を確認する実証実験の実施前の調査を行う調査費が計上されております。  水質のきれいさを求めることと漁業資源を豊かにすることはトレードオフの関係にあり、アクセルとブレーキのバランスは難しく、両立は簡単ではありませんが、担い手を確保し本県漁業を持続可能なものとするためにも、早急な調査と対策が望まれます。  そこで、瀬戸内海を豊かな海にするため、刻一刻と変化する水質環境において、栄養塩類対策にスピード感を持って取り組むべきと考えますが、県としてどのように進めていくのか、お伺いいたします。  質問の第四は、アフターコロナの観光振興について、二点お伺いいたします。  疫学的にはともかく、社会的にコロナを終わらせるためには、ウイズコロナに向けた社会的コンセンサスづくりが必要と考えます。また、アフターコロナを見据えた県経済の回復については、県経済を牽引する企業の育成、企業誘致なども重要でありますが、中でも、本県にとって観光は経済再生に影響が大きいものであるため、質問させていただきます。  一点目は、広島空港における外国人観光客の受入れ環境の整備についてであります。  今年の六月、新型コロナウイルスの水際対策で停止していた外国人観光客の受入れ手続を再開いたしました。観光目的の外国人の入国を認めるのはおよそ二年ぶりとなり、今月七日からは、添乗員を伴わないパッケージツアーも解禁されました。ただし、パッケージツアーを予約するには、医療保険への加入や、屋外を含む全ての公共の場でのマスクの着用が義務づけられることもあることから、旅行を諦めてしまうケースも多いと聞いており、本格的なインバウンド再開はまだまだ先なのかもしれません。  こうした状況で、コロナ前のインバウンドが戻ることを考えるのは少々気が早いと思われるかもしれませんが、私は、先を見据えて、今のうちから本格的なインバウンドへの準備をしておくことが必要だと考えます。  規制が緩和され、通常の受入れとなった際、外国人観光客にストレスを感じさせることのない、おもてなしが必要です。  まず、海外から広島県へのアクセスの問題について、コロナ前の課題を振り返ってみます。  二〇一九年三月に、広島経済同友会広島ブランド委員会がまとめた未来戦略の中には、欧州からの来訪者のウエートが際立って高いという広島の特性にマッチした成田・広島便の増便による乗り継ぎロス軽減や陸路からのモーダルシフトを実現することに加え、広島空港の国際線の拡充が求められていました。  その後、一年もたたないうちに、新型コロナウイルスが感染拡大し、今に至っているわけですが、アフターコロナのインバウンド拡大期に向けては、当時の課題を忘れることなく、しっかりと対応していかなければなりません。また、国際線再開に向けては、グローバルゲートウエーである広島空港のスムーズな検疫体制の整備なども、関係機関と連携して万全を期す必要があります。  さらに、公共交通の利用促進も必要です。昨年度、私が所属している国際平和・観光振興対策特別委員会で、官民一体となった沖縄県の観光施策を調査いたしました。沖縄県では、公共交通情報などのオープンデータを公開し、観光地から観光地への移動がスムーズにできるよう、インターネットで経路検索できるようにすることで、公共交通の利用促進を図り、観光客の満足度向上及び分散化による交通緩和に取り組んでいました。こうしたことも、本県の広島空港から様々な風光明媚な観光地への移動の課題に応用できるのではないかと考えます。  来年五月の広島サミットでは、多くの方が広島を来訪します。サミット後を見据えた外国人観光客の受入れ環境の整備は、アフターコロナの持続的な観光事業実現の実証になるものと考えています。  そこで、アフターコロナのインバウンド拡大期を見据えて、誰もが快適かつ安心して楽しめる受入れ環境の整備に向け、海外からの広島県への空の輸送手段の充実化や、空港の検疫体制などの受入れ環境整備にどのように取り組もうとされているのか、また、広島空港から観光地への移動における公共交通の利用促進について、どのように進めていかれるのか、お伺いいたします。  質問の最後は、サミット後も持続可能な観光事業についてであります。  来年五月に広島でのG7サミットの開催が決定し、現在、県、広島市や経済、交通、医療など様々な分野の関係団体で構成する県民会議の下で準備が進められているところであります。各国代表団や海外メディアの方々を、最高のおもてなしで温かくお迎えできるよう、万全の準備をお願いしたいと思います。  今回のサミットは、被爆地で開催される初めてのサミットということで、平和と核兵器廃絶につながるメッセージを発する機会として、併せて、今回の機会を通して、美しい自然や優れた文化、産業など本県の魅力を世界にアピールして誘客を促進することが期待されますが、さらに、サミット期間だけではなく、サミット後の観光客数の増加につなげることが重要であります。  七月には、湯崎知事自ら三重県伊勢市と志摩市を訪れ、国内で開かれた前回二〇一六年の伊勢志摩サミットの関連施設を視察されましたが、三重県では、この伊勢志摩サミット以降、県全体に効果が波及しています。開催年からの四年間、観光入込客数は四年連続で増加し、国際会議の開催もサミット開催以降、増加しております。  本県も、伊勢志摩サミットのように、サミット後もその効果が持続する取組が必要であります。  現在、県では次期「ひろしま観光立県推進基本計画」を策定中であり、その骨子案では、安全・安心に旅の本質を体感できる観光地、持続可能な地域社会の実現を目指す姿として掲げています。  アフターコロナの観光事業では、単にコロナ前の状況に戻すということではなく、このコロナ禍で掘り起こしができた新たな本県の観光資源の活用や、世の中の価値観の変化の反映による、新たな観光事業に再構築することが重要であります。  世界では、SDGsが採択されてから、旅行先の自然環境や社会文化などに配慮した持続可能な観光であるサステナブルツーリズムが徐々に浸透してきましたが、コロナ禍以降、さらに人気が加速しています。中でも、自然、アクティビティー、文化体験の三要素のうち二つ以上で構成される旅行であるアドベンチャーツーリズムは最も勢いがあります。特に欧米の富裕層に人気があり、ポテンシャルを大きく秘めた分野であると期待されています。  先ほども述べたとおり、広島は欧州からの来訪者のウエートが際立って高いという特性があることからも、こうした地域の方々と相性のいい体験型のアドベンチャーツーリズムを開拓する意義は大きいのではないでしょうか。  瀬戸内海は世界でのブランド力が高まっており、コロナ前の二〇一九年には、日本で唯一、ニューヨークタイムズが選ぶ、行くべき観光地の第七位に選ばれました。宿泊可能なクルージングなども面白いと思います。また、サイクリストの聖地ともなった、しまなみ海道での国際サイクリング大会以外にも、例えば、私の地元にある瀬戸内海国立公園野呂山を舞台に繰り広げられる、野呂山グランドヒルクライム大会などもあります。  持続可能な観光事業に向けては、こうした県内の体験型のイベントを掘り起こし、人気となっているグランピングなどとも組み合わせて、長期滞在につなげる観光プロダクトの開発をもっと行うべきと考えます。  そこで、観光事業について、サミット後も持続するため、特にアドベンチャーツーリズムの推進などにより、アフターコロナの新たな観光事業として再構築すべきと考えますが、県としてどのように取り組もうとしているのか、お伺いいたします。  最後に、様々な国難とも言える危機に直面している今、たとえ一人であっても、苦しんでいる人、困っている人がいれば、それを救うのが政治家の責任であります。  県民の誰もが長生きし、心から生まれてきてよかったと思えるような広島県になることを望み、引き続き、幅広い知識、見識を身につけてまいりたいと思います。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 13: ◯副議長中原好治君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 14: ◯知事湯崎英彦君) まず、グリーントランスフォーメーションの推進についてお答え申し上げます。  政府が掲げるグリーントランスフォーメーションは、経済成長と温室効果ガスの削減を両立させ、カーボンニュートラルにいち早く移行するために必要な、経済社会システム全体の変革を促す成長戦略であり、今後十年間で官民合わせて百五十兆円を超える投資を行うことが表明されているところでございます。  本県におきましては、令和三年三月に「第三次広島県地球温暖化防止地域計画」を策定し、環境と経済・暮らしのどちらかではなく、どちらも追及する社会を目指すことを基本的な考え方として、カーボンが自然界や産業活動の中で様々な形で循環し、持続的に共生する、広島型カーボンサイクルの構築など、環境と地域経済の好循環につながる取組を推進しているところでございます。  カーボンリサイクルにつきましては、国が大崎上島で進めている革新的低炭素石炭火力発電の実証研究、大崎クールジェンプロジェクトや、そこで分離、回収したCO2を有効利用したカーボンリサイクル実証研究拠点などは、他地域にない、本県の大きなアドバンテージとなっております。  引き続き、カーボンリサイクル技術に係る革新的、先導的な取組を、二〇五〇年に向けた長期的なプロジェクトとして位置づけ、継続、集中させるよう、国に働きかけてまいります。  また、こうした国の取組と一体となって、県におきましても、広島県カーボン・サーキュラー・エコノミー推進協議会を通じたマッチング支援や、産学官連携ワーキンググループの設置、県独自の研究・実証支援制度の創設など、カーボンリサイクル関連研究者等にとって魅力的な環境とすることにより、関係する企業や研究開発機関などの県内への集積を図り、カーボンリサイクルに係る新たな投資を呼び込みたいと考えております。  今後とも国と連携いたしまして、地域の特徴を生かして、グリーントランスフォーメーションの推進に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、県主導のサーキュラー・エコノミーの推進についての御質問でございます。  サーキュラー・エコノミーは、気候変動や廃棄物、資源不足などが地球規模で課題となる中、従来の3Rの取組に加えて、資源投入量、消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化などを通じて付加価値を生み出す経済活動であり、限りある資源の効率的な利用等により、世界で約五百兆円の経済効果がある成長市場であるとされており、本県の産業競争力の強化等に資するものと認識しております。  このため、本県におきましても、炭素資源が持続的に循環する社会経済であるカーボン・サーキュラー・エコノミーを実現するため、昨年度、推進構想を策定し、実証研究の強化と拠点化、県内企業や大学、市町など、九十者以上の会員が参画する広島県カーボン・サーキュラー・エコノミー推進協議会における学官連携によるプロジェクト創出など、多角的な取組を推進し、新たな産業集積を図っているところでございます。  また、近年、世界的な課題となっています海洋プラスチック対策として、製造、流通、小売などの企業や市町と設立した「GREEN SEA 瀬戸内ひろしま・プラットフォーム」におきまして、先月から順次ワンウェイプラスチックから循環利用可能な素材への転換、廃棄されていたプラスチック製品を元の製品に再生する水平リサイクルなどの資源循環の拡大に向けた先進的なモデル事業に取り組んでおり、新たなビジネスモデルの構築に向け、積極的に取り組む企業を支援しているところでございます。  このほか、市町や地域の方々と連携した未利用の木質バイオマスを活用した地域内での循環利用や、カキ殻や廃プラスチックを資源として、塗料やごみ袋などに再生する商品開発支援などを実施しているところでございます。  市町との連携におきましても、カーボンニュートラルに関心のある企業や、脱炭素先行地域に指定された自治体などと意見交換の場を設定し、電力の地域内循環の仕組みなど先進的な取組について情報共有を行い、市町での検討や取組が促進されるよう連携を深めているところでございます。  引き続き、本県の特性や強みを生かしながら、サーキュラー・エコノミーの取組を推進してまいります。  次に、食料安全保障が重要視される中での本県の農業についてでございます。  急激な社会環境の変化等による世界的な穀物相場の高騰が続いている中で、国において食料安全保障の強化に向けた検討が開始されているところであり、本県におきましても、これまで輸入に頼っていた小麦や飼料作物などの自給率を高めることが重要であると考えております。  これまで、本県の小麦や飼料作物の栽培につきましては、主に水稲の生産調整を目的に、JAを介した契約取引や周辺の畜産農家からのニーズに応じて国の交付金も活用しながら、集落法人などの経営の一部として取り組まれているところでありますが、全国に比べると小規模にとどまっている状況でございます。  こうした中で、穀物相場高騰の長期化を受け、パンや麺類を製造する食品関連企業や配合飼料を大量に利用している畜産経営体からのニーズが高まりつつあることから、農業者の所得向上や農地の有効活用にもつながる小麦や飼料作物の生産を積極的に進めてまいりたいと考えております。  このため、小麦につきましては、食品関連企業に対して詳細な需要調査を行い、その情報を生産者に提供して栽培を働きかけるとともに、収量と品質の確保に向けて水田の畑地化や多収技術の普及に取り組むことで、生産規模の拡大を進めてまいりたいと考えております。  また、飼料作物につきましては、特に養鶏業者からのニーズが高まっていることから、水稲と同じ条件で栽培できる飼料用米を重点的に推進することとし、推進に当たっては養鶏場から生じる鶏糞を化学肥料の代わりに米生産に使っていただくことで、双方の連携を強め、マッチングを進めてまいりたいと考えております。  こうした県産穀物増産の取組をJAをはじめ、関係団体と連携して進めることにより、厳しい社会経済情勢の中にあっても将来にわたって持続可能な本県農業の振興を図ってまいります。  次に、サミット後も持続可能な観光事業についての御質問でございます。  G7広島サミットの開催は、海と山に囲まれた豊かな自然、そこで育まれる食や文化、戦後復興を成し遂げた歴史など、本県の魅力や価値を世界中に発信し、世界各国から広島を選び訪れてもらえる絶好の機会と認識しております。  また、次期「ひろしま観光立県推進基本計画」の骨子案では、自然・文化資源の保全と観光利用の両立を図りながら、地域の文化や暮らしなどをより深く体験できる持続可能な観光地を目指すこととしており、地域独自の自然や文化を地域の方々と共に体験する、いわゆるアドベンチャーツーリズムの重要性が本県においてもさらに高まっていくものと考えております。  こうしたことから、観光プロダクト開発促進事業におきまして、今年度、地元の事業者や住民等と幅広いネットワークを有し、観光プロダクトの開発を牽引していくエリアマネージャーを県内の各エリアごとに新たに設置し、江の川の大自然をラフティングやイーバイクなどで満喫するアドベンチャー体験、湯来を流れる清流でのシャワークライミングと地元の温泉や食を楽しむツアー、本県の自然、企業の歴史、島人の暮らしなどを一週間程度長期滞在して深く体感するプログラムなど、自然や文化を体験する新たなプロダクトの開発等に取り組んでいるところでございます。  こうした新たに開発したプロダクトなどを含めた、本県の多様な魅力につきまして、海外有力メディアなどを対象とした視察ツアーや、海外の観光関係メディアや首都圏への広報活動などにより、国内外に効果的に発信していく事業に加えて、観光関連事業者が行うWi‐Fi環境整備等のデジタル化対策や多言語表示などのユニバーサル対策などの受入れ環境整備を支援する事業について、G7広島サミットやサミット後のインバウンドの回復等を見据え、本定例会に提案しているところでございます。  こうした取組を通じ、サミット後におきましても、国内外からの本県への観光客の増加を図り、本県が持続可能な観光地となるよう、推進してまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 15: ◯副議長中原好治君) 農林水産局長大濱 清君。         【農林水産局長大濱 清君登壇】 16: ◯農林水産局長(大濱 清君) 瀬戸内海の貧栄養化問題への対策についてお答えいたします。  本年四月に、瀬戸内海環境保全特別措置法が改正、施行され、海域の栄養塩類を適切に管理するための栄養塩類管理計画を県が策定することにより、下水処理施設の排水基準を緩和することが可能になったところでございます。
     この管理計画の策定に当たりましては、まず、栄養塩類や水産生物の現在の状況を把握した上で、下水道放流水の栄養塩類濃度を高める能動的管理運転を行いながら、水産生物などへの影響を分析することが必要とされております。  このため、まず、栄養塩類と水産生物につきましては、本年十月から、県内数か所におきまして、窒素やリンなどの濃度に加えて、カキやアサリの重量などの基礎調査を行いたいと考えております。次に、能動的管理運転が水産生物に及ぼす影響につきましては、来年度から、下水道事業者との合意が得られた処理場の周辺海域において、栄養塩類の拡散状況や、生物の成長などを追跡する実証実験に移行し、その後も実施地区を順次追加していくことで、科学的知見を蓄積し、管理計画の早期策定につなげてまいります。  こうした取組を関係者の理解を得て進めていくため、地域住民、漁業者、自治体などで構成される湾灘協議会において、海域ごとの課題や対応策を共有するとともに、下水道事業者との調整を十分に行いながら、栄養塩対策を着実に進めてまいりたいと考えております。  本県の水産資源の回復につきましては、資源管理や環境改善といったこれまでの施策に加え、新たに栄養塩類対策にも取り組むことにより、豊かな海の実現につなげてまいります。 17: ◯副議長中原好治君) 土木建築局長上田隆博君。         【土木建築局長上田隆博君登壇】 18: ◯土木建築局長上田隆博君) アフターコロナに向けた、広島空港における外国人観光客の受入れ環境の整備についてお答えいたします。  アフターコロナを見据え、広島空港を利用する外国人観光客が、便利で快適に移動できる環境整備に向けましては、国際航空ネットワーク等の充実や、県内外の主要観光拠点を結ぶ空港アクセスの一層の強化が重要であると考えております。  広島空港の国際航空ネットワーク等の充実につきましては、空港運営権者である広島国際空港株式会社、通称HIAPが、三十年後に目指す将来ビジョンにおいて、現在の七路線を二十二路線に拡充するとともに、出入国者の乗り継ぎの利便性向上に資するため、成田線の増便にも積極的に取り組むこととされております。  このビジョンの実現には、HIAPだけでなく、関係者が連携して取り組むことが重要であるため、官民連携組織である広島空港振興協議会において、HIAPが拡充を目指す路線ごとにプロジェクトチームを設置し、今後、観光施策と連携し、インバウンド需要の取り込みなどについて効果的な取組を進めていくこととしております。  なお、国際線の早期運航再開に向けましては、HIAPにおいて、着陸料の全額減免措置などのインセンティブを設け、航空会社と協議を進めておられますが、県といたしましても、今定例会において、航空会社に対する復便の際の運航経費の一部支援を提案させていただいているところであり、HIAPと連携しながら、全力で取り組んでいるところでございます。  広島空港の検疫体制につきましては、国内外の水際対策の緩和に伴い、今年の七月末に、国際線受入れ環境が整備され、実施主体である国において、アプリ等を利用した検疫手続の簡素化が進められているところであり、県といたしましては、引き続き、国に対して、空港検疫手続のさらなる円滑化を要請していくこととしております。  また、空港アクセスの強化につきましては、今年度、県やHIAP、県観光連盟で構成するプロジェクトチームを設置し、将来的なインバウンド拡大を見据えた新たなアクセス路線の拡充について、最適な交通モードや運行形態など、持続可能な仕組みづくりを含め、検討を進めているところでございます。  県といたしましては、今後とも、広島空港における外国人観光客の受入れ環境の整備に向けて、HIAPなど関係者と連携しながら、積極的に取り組んでまいります。 19: ◯副議長中原好治君) この際、暫時休憩いたします。休憩後の会議は午後二時から開きます。         午後一時四十九分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後二時一分開議 20: ◯議長中本隆志君) 出席議員五十七名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。窪田泰久君。         【窪田泰久君登壇】 21: ◯窪田泰久君 皆さん、こんにちは。自民議連の窪田泰久でございます。今次定例会におきまして質問の機会を与えていただき、中本議長をはじめ、先輩、同僚議員各位に心から感謝を申し上げます。  さて、本日九月二十二日は、三十七年前、日本経済の転換をもたらしたと言われるプラザ合意がなされた日であります。このプラザ合意により、ドル高を調整するため、日本を含む先進国五か国による為替市場への介入がなされました。長く円安が続く今、国においても為替介入などを含めた検討がされており、歴史的な因縁を感じているところでございます。この円安は多くの企業経営を直撃し、消費者の生活にも影響が出ておりますが、このような中でも少しでも明るい話題が届けられるよう、知事をはじめ、当局の積極的な答弁を期待しまして質問に入ります。  質問の第一は、広島都市圏におけるにぎわい創出について、三点お伺いします。  一点目は、広島市都心の魅力づくりに向けた取組についてお伺いします。  今年六月、そごう広島店が、二〇二三年夏での新館の閉館を発表いたしました。一九九四年にオープンした新館は、当時、高校を卒業したばかりの頃であり、空間をうまく使うことで生まれる立体的なデザインは、今ではすっかりと私たちの目になじんだものとなっていますが、当時としては珍しく、その斬新さに誇らしい気持ちになったのを覚えております。閉店で、とりわけ私たちのお腹をこれまで力強く支えてくれた多くの飲食店がどうなるのか、今後の食事情に一抹の不安を覚えます。アパレルショップや生活用品を多く取りそろえ、多くの客でにぎわっていましたが、再来年の二〇二四年に建物の契約満了を迎えるため、約三十年の歴史に幕を閉じることとされたようです。  一方で、広島市都心エリアにおいては、これから多くの再開発が予定されています。旧市民球場跡地では二〇二三年三月にイベント広場がオープン予定で、中央公園広場では二〇二四年二月開業に向け、サッカースタジアムの建設が進められています。  さらに、二〇二五年には新たな広島駅ビルが開業予定で、二〇二七年には広島商工会議所などを含む複合施設の再開発が、旧市営基町駐車場や隣接エリアにおいて計画されています。  このような中での今回の閉館のニュースは、地元関係者の間でも、広島市都心エリアが今後どうなっていくのか、不安が広がっています。  広島市都心については、県と市が連携して「ひろしま都心活性化プラン」の実現を目指し、広島駅周辺地区と紙屋町・八丁堀地区を東西の核と位置づけ、相互に刺激し高め合う、楕円形の都心づくりを進めていき、その活性化に取り組んでいるところです。バスセンターや商業施設、ホテルなどが集まる新館周辺は、まさに都心の核となる場所に位置し、このたびの閉館は、ひろしま都心活性化プランの実現に向け、回遊性の面など少なからず影響を与えるものと思われます。来年五月にはG7サミットも控えております。  そこで、来年のそごう広島店新館の閉館が広島市都心エリアに与える影響について、どのように受け止めておられるのか、また、都心中心部の空洞化も懸念される中、県庁敷地も含めた回遊性、にぎわい創出など、広島市都心の魅力づくりに向けた取組をどのように進めていくのか、知事にお伺いします。  二点目は、都心周辺地域におけるにぎわい創出についてお伺いします。  広島都市圏は、人口、産業、都市基盤など中国地方最大の集積地であり、中枢拠点性を発揮することで県全体の発展を牽引する重要な役割を担っています。  一方で、総務省統計局が公表する二〇二一年の転出超過数の状況を見ると、都市圏の中心である広島市は二千六百三十二人と中国地方で最大であり、全国二十ある政令指定都市の中でワースト一位という状況です。この要因はいろいろあると思いますが、今後も広島都市圏が県全体の発展を牽引するには、中枢拠点性の強化は必要不可欠であり、県も市町と連携して取組を行っていく必要があると思います。  現在、広島市と共同で事業を進めている広島西飛行場跡地等の周辺施設では、主な公共交通が、広島駅・紙屋町方面からのバス路線のみであり、私の地元である南区方面からも公共交通が十分でないため、気軽に足を運ぶとは言えず、もったいないと感じています。  例えば、都心部と広島西飛行場跡地等の周辺施設、南区の宇品方面や西区の草津方面などがつながる循環バス路線の新設など、都心部や周辺地域、周辺市町から連続的な人の流れを生み出す仕掛けづくりもあってよいのではないでしょうか。都心周辺地域の回遊性を高め、都市圏全域で一体的なにぎわいを感じることで人々が集まり、中枢拠点性が強化された魅力ある都市になっていくと考えます。  そこで、都市圏全域で一体感のあるにぎわい創出に向け、都心周辺地域等の回遊性を高める仕掛けをもっと市町と連携して取り組むべきと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  三点目は、広島港の振興についてです。  まず、広島港について少しだけ歴史的な話をさせていただきますと、一八八九年に時の県令千田貞暁氏が近代港湾としての機能を備えた宇品築港事業を竣工され、一八九四年の日清戦争から第二次世界大戦が終わるまでの間は、旧陸軍の補給基地として栄えてきました。その後、一九九二年に全国で二十一番目となる特定重要港湾の指定を受け、二〇一一年三月には、港湾法の改正により国際拠点港湾に認定されるなど、海運、物流、貿易の重要な拠点として瀬戸内海の玄関口の役割を果たしています。  さて、近年の広島港の状況を見ると、平成の中頃まで約三百万人いた船舶乗降人員も、平成二十年代になってからは、人口減少等の影響により、約二百数十万人まで減少し、令和二年にはコロナの影響もあり、約百三十万人まで落ち込んでいます。また、クルーズ船についても、年間百隻の寄港を目指し、受入れ環境の整備など、国際交流基盤の強化により、二〇一五年の三十二隻から、二〇一九年には六十隻と順調に寄港回数を伸ばしてきたものの、二〇二〇年からはコロナにより激減し、瀬戸内海の玄関口としては、非常に寂しい状況となっています。  広島港宇品地区は、県にとって、また周辺地域にとって、生活航路、観光航路、国際交流拠点、防災拠点、港のオアシスと、多くの機能を併せ持つ、まさに拠点であり、このまま指をくわえているわけにはいきません。  そこで、広島港の振興に当たり、近年の利用客の低迷についてどう分析されているのか、また、ウイズコロナ、アフターコロナにおける今後の利用者の回復に向け、クルーズ船の誘致や新たな航路誘致など県として力強く推し進めていただきたいと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第二は、DX推進に向けたデジタルインフラの基盤強化についてお伺いします。  今年七月にKDDIの携帯電話サービスやインターネット通信において、過去に例を見ない規模での通信障害が発生しました。報道等によると四十時間を超え、最大三千九百十五万回線に影響があり、県民の生活にも多大な影響をもたらしました。このときの状況は、通話だけでなく、銀行などのATM、宅配や貨物などの物流、空港やバスなどの交通、気象庁のデータなど様々な分野に広がりました。あらゆる産業において、DX推進の動きが広がり、また、物がインターネットにつながるIoT機器が普及する中、通信障害の影響が生活全般で深刻化しやすいことが浮き彫りになったと言えます。  私自身も旧ツーカー時代を含む三十年近くのKDDI愛用者であります。今回の通信障害の発生を受け、改めてデジタルや通信は、生活に大きな影響を及ぼす、目に見えないインフラであると実感しました。  また、来年度にはG7サミットも控え、目に見えない標的型攻撃、いわゆるサイバー攻撃を受けた場合などでのセキュリティー対策も強化が求められます。  本県では、あらゆる主体がDXを身近なものと捉え、実践していく取組を推進していますが、デジタルを使う生活に慣れ、依存していくほど、今回のような大規模な通信障害が発生した場合やサイバー攻撃を受けた場合など、県行政にも多大な影響を及ぼすおそれがあります。  そのような事態を完全に防ぐことは難しいと思いますが、デジタル化やDXを進めていく上で、県としてもインフラ基盤の強化はもとより、最新のサイバー攻撃にも対応できるよう、随時セキュリティー対策を見直していく必要があると思います。  そこで、デジタル化やDXを進めるためのインフラ基盤の強化やサイバー攻撃に対するセキュリティー確保について、現在、県ではどのような取組をしているのか、また、今後どのように強化を図られようとしているのか、知事にお伺いいたします。  質問の第三は、高度医療・人材育成拠点の整備についてお伺いします。  最初に、今年三月に高度医療・人材育成拠点の整備について、一定の方向性が取りまとめられたことについては評価すべきものと受け止めておりますが、その中で、県立広島病院の統合・再編案が示されたというのは、正直、複雑な思いもございます。この県立広島病院とJR広島病院の統合・再編における新病院構想について私見を述べさせていただきます。  まず、「高度医療・人材育成拠点ビジョン」では、新病院構想で想定される運営形態として、地方公営企業法全部適用、地方独立行政法人、指定管理者制度の三つの案が示されています。県立広島病院を含む新病院構想では、県が主体となって検討されるものと思いますが、公立病院が指定管理者制度を導入する場合などでは、身分が公務員でなくなるため、転職を希望する看護師等もおられるという事例もあると伺います。運営形態の検討に当たっては、経営面、効率面のみで判断するのではなく、現場の声もしっかりと聞いて慎重に議論していただきたいと思います。  次に、建設候補地について、広島駅北側に位置する二葉の里地区の予定敷地面積は二・六一ヘクタール、現在の県立広島病院の二・九七ヘクタールよりも小さくなっています。建設候補地は広島駅から近く、公共交通機関によるアクセス面では向上すると思います。しかしながら、県立広島病院などの大病院では、民間医療機関からの紹介による患者が大部分であり、家族による送迎、入院患者への家族面会など、移動手段としては自動車利用の方も多いと思われます。この敷地面積で、これまでと同様、それ以上となる十分な駐車場スペースが確保できるのか、この辺りもしっかりと検討を重ねていただきたいと思います。  また、若手医師から魅力を感じてもらい、選んでもらう病院となるためには、症例数、医療設備、研修プログラムとともに、若手医師を指導する立場となる指導医の充実が不可欠であり、その確保についても積極的に取り組んでいただきたいと思います。  こうした私見を述べさせていただきましたが、新病院構想の建設候補地として挙がっている二葉の里地区周辺の住民にとっては、期待の声が高まるとともに、その反面、統合・再編案が公表され、その後の状況が見えない宇品地区周辺の住民にとっては、不安な日々を過ごされている方も多いと思います。  やはり、地元地区に大病院があるという安心感は絶大なものであり、居住地の選択理由の一つにもなり得ると考えますが、現時点で、宇品地区については何も言及されておりません。なぜ県立広島病院が宇品地区から移転しなければならないのか、なぜ今になって統合・再編を行わねばならないのか、そして、移転したらその後はどうなるのか。これらのことについては、地域の皆様に今後、しっかりと説明していく必要があると思います。地元からは医療機能の存続についての要望も強く、移転に向けた合意形成は、地域住民の同意を得ないと難しいと考えております。  そこで、高度医療・人材育成拠点の実現に向け、県として、地元自治会や医師会等との協議を今後どのように進めていくのか、また、地域住民が引き続き安心して医療を受けられるよう、地域医療をどのように維持していくおつもりなのか、現時点での知事の思いをお伺いいたします。  質問の第四は、農福連携の取組の促進についてお伺いします。  農福連携については、平成三十一年四月に内閣府に農福連携等推進会議が設置されたところですが、本県でも、令和二年度から施設外就労を中心としたマッチングを推進し、障害者就労施設等への農業専門家の派遣なども行っています。  農福連携を推進するメリットは、農業の面では労働力の確保、農地の維持、拡大等が期待できるほか、福祉の面でも、障害者の新たな就労の場の確保や賃金の向上等が期待でき、双方にとってウィン・ウィンの取組となります。  一方で、農福連携等推進会議により令和元年六月に公表された「農福連携等推進ビジョン」では、推進に向けた課題として、取組自体がよく知られていない、どうやって進めてよいか分からない、社会全体への広がりが見えにくいという三つの課題が挙げられています。  私は、この中でも、取組自体がよく知られていない、つまり認知度不足が推進していく上での課題の根底にあると考えております。  以前、私も知人から相談を受け、担当部局に相談させていただきました。その際には丁寧に説明いただき、私も県の取組について理解が深まったと思いました。しかし、後から県のホームページで調べようとしても詳細が分かりづらい印象を受けました。また、この取組については、一般財団法人広島県森林整備・農業振興財団等が行っているとも伺いましたが、例えば、こういったことを県のホームページ等でも周知はされているのでしょうか。  隣の山口県では、取組について事例集として取りまとめられており、岡山県では、ユーチューブチャンネルでレポートするなど、県民目線で見ると、本県よりも積極的に認知度向上に向け、広報、周知を行っている印象を受けます。  農福連携については、私は大変よい取組であると思っていますので、もっと広く県民の方に知っていただくためにも、成功事例などは積極的に周知していただき、今後も県が主体となって認知度向上に取り組む必要があると思います。そして、県内への理解、浸透が進むことで、結果的には農業と障害者就労のマッチングの促進や就労者の賃金向上にもつながっていくと考えています。  そこで、これまでの農福連携におけるマッチング支援や賃金向上の成果について伺うとともに、県内における農福連携のさらなる推進に期待し、認知度向上やマッチングの促進に向け、今後どのように取り組まれていくのか、知事にお伺いいたします。  質問の第五は、英語教育に向けた取組についてお伺いします。  民間の教育機関が実施した非英語圏における国別英語能力指数ランキングの結果を見ると、二〇二一年の日本は、参加百十二か国中七十八位と、下位三分の一のグループに位置する結果となっていました。  そもそも日本人はなぜ英語が苦手なのか、これについては日本語がアルファベットを使わない言語であることや文法的な語順が異なることなど、そもそものハードルが高い上に、長時間かけ、積み上げて覚えた単語や文法など知識としてのストックはあるものの、それを生かす環境が十分にないことが抜本的な問題であると思います。そして、一旦英語から離れてしまうと、まるで光の速さで忘却のかなたに消え去ってゆく。非常に寂しい限りでございます。また、これまでの英語教育は、聞く、読む、書くことが重視されてきたと私自身も実感しており、英語を話すことに対して苦手意識を持つ方が多いのではないかと思っています。近年、大学入試における共通試験ではスピーキングの導入も議論されていますが、いまだ導入に至っていないのが現状です。  一方、高校入試では、東京都で今年度から初めて、都立高校入試に英語のスピーキングテストの結果が活用されるようです。スピーキングテストを先に受験し、その結果が入試時に加算されるというもので、今後どのような成果として現れるのか、注視しているところです。  さて、本県の英語教育の現状を見ると、文部科学省が行った令和三年度の英語教育実施状況調査では、中学三年で英検三級相当以上の実力があるのは、本県では四五・七%と、国の目標五〇%に届かないばかりか、全国平均の四七%をも下回っている厳しい状況となっています。  今年度からスタートする公立高校の新たな入試制度では、受験生全員に自己表現が導入されるなど、様々な改善が行われています。このたびの補正で、本県の英語力の課題とされている話すことに重点を置いた取組を行おうとしていますが、将来的には、本県の入試制度でも、受験生からブーイングがあるかもしれませんが、英語を話すという観点を盛り込むことなども検討いただきたいと思います。  東京都で導入されるようなスピーキングテストが全国的にも広がっていき、英語教育が話すことに、より重きを置かれるようになると、冒頭に述べたランキングなどの状況も変わってくるとともに、今後ますますグローバル化が進む社会の中で、国際社会で活躍する人材も増えてくるのではないかと期待しています。  そこで、このたびの補正事業を踏まえ、英語を話す力の向上に向け、どう展開していこうと考えておられるのか、また、今後、国際社会で活躍する人材を育成するために、英語教育にどのように取り組まれていくのか、教育長にお伺いいたします。  質問の第六は、県立図書館の在り方についてお伺いします。  昨年の九月定例会で、県立図書館が果たす役割について質問したところですが、引き続いて質問させていただきます。  前回の質問では、県立図書館が果たす役割とは、市町立図書館との役割分担を図り、専門性の高い資料の充実などを通じて、広く県民に活用され、学ぶ意欲を喚起するものであること、加えて、図書館とは、住民の身近にあって、生涯にわたり人々の学びを支援する、極めて重要な社会教育施設であるとの答弁がございました。  確かに県立と市町立との図書館の役割分担、いわゆる差別化を図るということは必要な観点ですが、差別化を意識するあまり、専門性の高さばかりを追い求めると、住民の身近にあってという理念は遠のきます。結果、図書館の考える役割と県民が求める役割に大きな乖離が生じ、来館者、貸出し冊数とも低迷し、中四国最下位となっているのではないでしょうか。  本来、県立図書館とは、市町立との役割分担的な位置づけだけでなく、補完的な位置づけもあってしかるべきだと思います。市町立図書館の蔵書数もおのおの異なる状況の中で、蔵書数の少ない市町を補完するという点で、小説や教養書、実用書といった親しみやすい蔵書をもっと充実させるなどの対応も必要ではないかと思います。ラインナップが充実していれば、あそこに行けば何かあるかもしれない、そういった期待を込め、足を運ぶと思うのです。もっともっと県民に対し広く利用いただけるような身近な図書館づくりを目指していただきたいと思います。  私はこれまで、県立図書館のコンセプトがいま一つ見えにくいと感じていました。専門性が高いと言っても図書や資料のジャンルは幅広くあるわけでして、どの分野に強いのか、どういったときに利用するものかなど、分かりづらさを感じていました。  そうした中で、今年七月に、新たに、ひろしま子どもサイエンスライブラリーを立ち上げられ、子供たちの主体的な学びや科学への興味、関心の喚起、学校図書館への支援などに、他県に先んじて取り組んでおられることは大変すばらしいことと感じています。  公共図書館は、だれもがいつでも本と出会い、読書に親しみ、自己の能力を磨き、必要な知識、技術を生涯にわたって学び直す重要な役割を担っています。  そこで、人生百年時代や学び直しへの対応など、様々な課題が山積している中、図書館として具体的にどのような方向性で、どのような取組を進めていかれるのか、中長期的な県立図書館の経営ビジョンや今後の在り方について、教育長にお伺いいたします。  さて、長引くコロナ禍により、これまでの自分の体を傷めつける生活様式から、自分をいたわる新しい生活様式へと変わりました。少し文化的な生活がしたいと思い、半世紀以上前の作品であります、アーサー・C・クラーク著「二〇〇一年宇宙の旅」を読み返すことにいたしました。残念ながら、県立図書館では、二〇〇一年宇宙の旅は置いていなかったのですが、約三百万年前に人類の祖とされる猿人の姿から、人類が月に居住できる時代を経て、木星を越えて、土星までの有人宇宙探索が可能となる近未来を描いた、SF小説の金字塔となった作品であります。この物語では様々な苦難、困難に直面し、未知なる脅威と対峙していくことで、人類が無限の可能性を広げていくことを様々な場面で暗示しております。この物語に描かれる二〇〇一年の未来より、さらに二十年以上が過ぎた今、ここまでの技術革新や宇宙開発は進んでおりませんが、本著がたどってきたように、たゆみない進化を続け、現代社会で直面している新型コロナウイルスという脅威を乗り越え、これからも無限の可能性が広がっていくことを確信いたしまして、質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 22: ◯議長中本隆志君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 23: ◯知事湯崎英彦君) まず、広島市都心の魅力づくりに向けた取組についてお答え申し上げます。  県と広島市が共同で策定した「ひろしま都心活性化プラン」におきましては、広島市都心の回遊性を向上させ、にぎわいを創出するために、楕円形の都心の東西の核である広島駅周辺地区及び紙屋町・八丁堀地区、さらにそれらをつなぐ西国街道を軸とした地区において、安全で快適に回遊できる、人が中心となる回遊ネットワークの形成に取り組むこととしております。  具体的には、昨年完成したひろぎんホールディングス本社ビルや、本年八月に完成した広島JPビルディングのように、建築物の低層階に、物販、飲食等のにぎわい創出に寄与する店舗を誘導するほか、公共空間を活用して、オープンカフェやイベントを実施することなどにより、県民、市民や来訪者の皆様が歩いて楽しく回遊できる環境づくりを進めることとしております。  また、広島市は、「居心地が良く歩きたくなるまちなか」の創出を強力に推進する国のウオーカブル推進都市の取組に参画し、地域のエリアマネジメント団体等と連携しながら、沿道建物とつながる道路空間を活用した歩行環境の改善やにぎわいの創出に取り組んでおり、相生通りや並木通りなどでは、エリアマネジメント団体を中心に公共空間を活用した社会実験を実施するなど、具体的な取組が行われているところでございます。  今後も、広島市や広島都心会議と連携し、現在整備が進んでいるサッカースタジアム等を含む中央公園エリアや、基町相生通地区市街地再開発事業をはじめとする複数の再開発事業、また、現在検討中である県庁舎敷地を有効活用した憩いの場の創出など、これらが相互に連関し、都心全体の回遊性やにぎわいの向上に、より一層資するものとなるよう、地域のエリアマネジメント団体など都心に関わる様々な主体とも都心の目指す姿を共有しながら取り組んでまいります。  なお、そごう広島店におきましては、約二十年ぶりとなる全館改装を実施する中で、賃借契約の期間満了を迎える新館の営業を終了することとなったと伺っております。新館部分の閉館は残念でございますが、建物を所有する事業者からは間を空けずに、都心の活性化につながり、町なかにふさわしいテナントの誘致を進めていくと伺っており、広島都心会議や地域のエリアマネジメント団体との連携により、都心全体の回遊性やにぎわいの向上につながるものとなるよう期待しているところでございます。  次に、都心周辺地域におけるにぎわい創出についての御質問でございます。  広島市都心及びその周辺にある宇品・出島地区や井口・商工センター地区などの拠点地区は、人口、産業、都市基盤などの集積地であるとともに、交通、物流の拠点であり、持続的に国内外から様々な人を引きつけ、県全体、さらには中四国地方全体の自立的発展を牽引する重要なエリアと認識しております。  これら都心周辺地域のにぎわいを創出し、その持続可能性などを高めるためには、都心・拠点地区の連携強化により、各地区の機能分担と都市機能の有効活用が図られる必要があるため、地域の交通施策を担う広島市においては、公共交通機能の充実強化などに取り組むこととしております。具体的には、都心にアクセスしやすく、拠点地区間も移動しやすい交通環境の整備に係る施策として、デルタ内の主要施設を連絡するバス循環線の導入や、広島港からアルパークを結ぶバス路線の社会実験などが行われてきたところであります。  県におきましては、これらの施策を検討する広島市の地域公共交通活性化協議会に参加しており、広域的な観点から必要な助言を行っているところでございます。  また、こうしたにぎわいなどの創出に当たりましては、利便性の高い公共交通ネットワークを活用し、広島市域内だけでなく、国内外の方々と都心周辺地域との交流を一層活発化させる必要がございます。  このため、県におきましても、国、市町、交通事業者、学識経験者等で構成される広島県公共交通移動活発化検討会を開催し、乗換え検索サイトへの県内全域のバスや航路の情報の掲載、バスロケーションシステムの導入、郊外バス路線を含む路線番号の整理を行うなど、利用者の立場に立ち、利便性向上に取り組んでいるところでございます。  今後とも、都心周辺地域において回遊性が高まるよう、利便性の高い公共交通ネットワークを構築していくとともに、現在、策定を行っております「広島県地域公共交通ビジョン」の検討結果も踏まえながら、広島市や周辺の市町とも連携することで都心周辺地域のにぎわいを創出し、広島都市圏、ひいては県全体の魅力向上を図ってまいります。  次に、広島港の振興についてでございます。
     広島港宇品地区につきましては、瀬戸内と世界をつなぐ国際交流拠点として、クルーズ客船の受入れ環境の拡充や、港湾施設を活用した商業施設の誘致など港のにぎわいづくりを進めているところでございます。  新型コロナウイルス感染症の影響前の広島港の利用客数につきましては、生活航路においては、人口減少等により利用者が大きく減少しておりますが、観光航路においては、宮島航路の利用者が大きく増加しておりました。  一方、コロナの影響を受けた令和二年以降は、生活航路、観光航路ともに利用者が大幅に減少しております。行動制限が解除された今年度に入ってからは、観光航路利用者は前年度より増加傾向にございます。  こうした中、県といたしましては、ウイズコロナ、アフターコロナに向けて、クルーズ船などの観光目的の利用者数の増加に対応するための取組が必要だと考えております。  広島港宇品地区においては、クイーン・エリザベスなどの十二万トン級のクルーズ客船が寄港できる岸壁延伸工事を九月末までに完成させるとともに、新たなクルーズターミナルにつきましては来年度末の完成を目指して整備し、クルーズ客船の受入れ環境の向上を図ることとしております。  あわせて、外国クルーズ船の誘致につきましては、本県を訪れる外国人観光客のうち、欧米人の割合が高いという本県の特徴を生かすため、欧米の富裕層が多く乗船するラグジュアリークラスのクルーズ船社などを中心に、積極的なポートセールスを実施しているところでございます。  さらには、瀬戸内海の島々を小型船で巡る観光航路につきましても、新たに創設されたデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用し、観光MaaSアプリを用いた新たなサービスによる快適な航路環境の実現に向けて取組を進めております。  また、来年五月の広島サミットを契機に、広島の観光地としての魅力やブランド価値が世界に向けて大きく発信され、このことが広島港へのクルーズ船の寄港増加につながるよう、新たな旅行商品の開発などを関係機関と連携し取り組んでまいります。  引き続き、これらの取組を着実に進め、瀬戸内海の玄関口としてふさわしい港づくりを推進してまいります。  次に、高度医療・人材育成拠点の整備についてでございます。  県立広島病院は、三次救急に対応する救命救急センターであるとともに、県内十八か所の災害拠点病院を支援する基幹災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、総合周産期母子医療センター、中国・四国ブロックエイズ治療拠点病院など、様々な政策医療の広域的拠点としての役割を担っております。  また、県立広島病院は地域医療を担うかかりつけ医を支援する施設として地域医療支援病院に指定されており、クリニックなどのかかりつけ医から紹介のあった患者が初診患者の約九割を占めるなど、病院と地域の診療所の機能分担の推進を図っているところでございます。  一方で、県立広島病院は、大規模な改修工事から三十年近くが経過しておりまして、設備の老朽化や病室の狭隘化など物理的、機能的劣化が現れ始めるとともに、南海トラフ地震発生時には浸水被害が想定されていることから、立地場所も含めた抜本的なハード対策を検討する時期にございます。  こうした中、昨年度、広島県地域保健対策協議会から提言を受けた、県立広島病院とJR広島病院の統合を核とした「高度医療・人材育成拠点ビジョン」につきましては、医師や高額医療機器など医療資源の集約によるスケールメリットと広島大学病院との緊密な連携により、全国トップレベルの高度・専門医療を提供し、救急患者の応需率を高めるとともに、多彩かつ豊富な症例を生かした教育、研修環境の充実と、ワーク・ライフ・バランスに配慮した医師のキャリアアップ支援による医師の確保、育成、派遣の仕組みを整備することで、県全域の医療提供体制を確保することを目指すものでございます。  本県といたしましては、この提言を踏まえて、現在、具体的な医療機能や経営シミュレーションなど、その実現可能性について、広島大学や医師会などの関係機関と検討しているところであり、今後、その検討結果を基本構想として取りまとめることとしております。  あわせて、病院の再編の影響を受けます地域医療の在り方を整理し、その実現に向けて広く地域の意見をお聞きしながら、地域の皆様が、引き続き安心して医療が受けられるよう、必要な医療体制を検討してまいります。  引き続き、拠点ビジョンの具現化に当たりましては、全県に裨益する高度医療、政策医療の強化と地域医療支援の両立を実現し、県民の皆様がどこに住んでいても必要な医療を安心して受けることができる体制の構築に向けて、全力で取り組んでまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 24: ◯議長中本隆志君) 総務局長岡田芳和君。         【総務局長岡田芳和君登壇】 25: ◯総務局長(岡田芳和君) DX推進に向けたデジタルインフラの基盤強化についてお答えいたします。  デジタル化やDXの推進には、情報セキュリティーの確保が重要であり、とりわけ、今後、G7広島サミットを控え、本県に対しましても、サイバー攻撃のリスクが高まると考えられます。  本県における情報通信インフラ強化につきましては、これまで、平成三十年七月豪雨災害を教訓に、県の庁舎等が被災した場合でも業務を継続できるよう、全ての職員端末に通信機能を持たせるなどの取組を進めてまいりました。  このたびのKDDIの通信障害を機に、特定の事業者に通信障害が発生した場合でも通信手段が確保されるよう、職員が利用する機器の通信機能について複数の通信事業者との契約を検討するなど、情報通信インフラの代替性を向上させるための取組を進めたいと考えております。  また、サイバー攻撃へのセキュリティー対策につきましては、県及び県内二十三市町のインターネットとの接続点を一か所に集約し、二十四時間三百六十五日、通信を常時監視する情報セキュリティークラウドを、県内市町と共同で運用するなど、高度なセキュリティー対策を講じてまいりました。  さらに、国が示す「地方公共団体情報セキュリティーガイドライン」が本年三月に改訂されたことなども踏まえ、大量のデータを送りつけるDDoS攻撃などに備えた負荷分散機能などの対策を講じることで、情報セキュリティーの水準向上を図っているところでございます。  加えて、インターネット上のクラウドサービスを利用する機会が増加しつつあることから、全てのアクセスに対して安全性の確認を行うゼロトラストの考え方に基づくセキュリティー対策を、年度内を目途に講じることとしております。  こうした取組を通じまして、デジタル化やDX推進を下支えするための情報通信インフラの強化と情報システムのセキュリティー向上を図ってまいります。 26: ◯議長中本隆志君) 健康福祉局長木下栄作君。         【健康福祉局長木下栄作君登壇】 27: ◯健康福祉局長(木下栄作君) 農福連携の取組の促進についてお答えいたします。  農福連携につきましては、障害者が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを創出し、社会参画を実現していく重要な取組であると認識しております。  そのため、県では、農業生産を行う障害福祉事業所への営農指導を行うとともに、令和二年度から、農業生産者と障害福祉事業所との間をつなぐ農福連携マッチング支援事業を開始したところでございます。具体的には、東広島市に農福連携コーディネーターを派遣し、農業生産者と障害福祉事業所との間で、作業内容や就労条件等の調整を行い、福祉事業所の作業受注につなげていくというものでございます。その取組成果につきましては、令和二年度は、三生産者から、延べ六事業所が作業を受注し、令和三年度は、十の生産者から、延べ二十事業所が作業を受注しており、徐々にその実績を積み上げているところでございます。  また、県内の就労継続支援B型事業所の一人当たり平均月額工賃は、令和三年度、一万七千四百十二円であり、新型コロナウイルス感染症拡大前の令和元年度と比較して、二百四十四円上昇しており、近年、その上昇傾向が続いております。農福連携をはじめとする様々な新しい取組が、工賃向上に対して一定の成果を上げているものと考えております。  さらに、農福連携に関する情報発信につきましては、現在、県内の取組一覧などを県のホームページで公表しておりますが、今後、よりその認知度が高まるよう、情報収集や情報発信の在り方について他県の事例も参考にしながら検討してまいります。  今後とも、これらの取組を着実に進め、県内の農福連携をさらに推進してまいります。 28: ◯議長中本隆志君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 29: ◯教育長平川理恵君) 二点についてお答えいたします。  まず、英語教育に向けた取組についてでございます。  グローバル化が急速に進展する中で、外国語によるコミュニケーション能力は、一部の業種や職種だけでなく、生涯にわたる様々な場面で必要とされることが想定されており、学習指導要領の中でも聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの英語四技能を総合的に育成することが求められております。  しかしながら、義務教育終了段階で英検三級相当の英語力を有する広島県の生徒の割合は、前回より向上したものの、国の掲げる目標値の五〇%に達しておらず、また、五年ぶりに全国平均を下回ったことを受け、とりわけ課題のある話すことについて重点的に取り組むこととし、補正予算を計上させていただいたところでございます。具体的には、来年度、中学校第三学年を対象とした英語スピーキングテストを実施し、現状を把握するとともに、課題を分析して指導改善を進めようと考えており、今年度は評価規準作成等のための予備調査を行います。また、生徒が学校や家庭などでスピーキングを含む英語の学習に主体的に取り組めるよう、オンライン教材を提供することとしております。  県教育委員会といたしましては、国際社会で活躍できる人材の育成に向け、生徒の英語によるコミュニケーション能力の向上を図る施策を進め、グローバル・マインドや実践的なコミュニケーション能力の育成に努めてまいります。  なお、高等学校入学者選抜において、話すことの習得状況を測ることにつきましては、今回の補正事業における取組の成果や他県の状況等を踏まえ、研究してまいりたいと考えております。  次に、県立図書館の在り方についてでございます。  公共図書館は、民主主義のとりでとも言われるように、地域の知の拠点として、多様な利用者や住民の学びを支え、幅広い観点から社会貢献や地域発展のために寄与することが期待されております。  これまで県立図書館では、「広島県教育に関する大綱」に掲げる、一人一人が生涯にわたって主体的に学び続け、多様な人々と協働して新たな価値を創造する人づくりの実現に向け、県民の皆様の主体的な学びを支援できるよう、社会情勢への的確な対応や魅力づくりに取り組んでまいりました。  こうした観点から、本年度は、幼稚園、保育所や学校図書館への一括貸出しの強化や、ひろしま子どもサイエンスライブラリーの開設に新たに取り組んでいるところでございます。  とりわけ、子供から大人まで誰もがわくわくする体験型の図書館として、本年七月に、ひろしま子どもサイエンスライブラリーをオープンしたところ、来館者数は対前年同時期比で一・三倍、子供の本の貸出し冊数は一・七倍となったところでございます。  また、来年五月の広島サミット開催に当たり、サミットで議論されるテーマについての興味、関心を促すとともに、歓迎の機運を醸成することを目的としたサミット特設コーナーの設置に向け、このたびの九月定例会において補正予算を計上させていただいております。  引き続き、人生百年時代に対応したリカレント教育の充実など、社会情勢の変化へ的確に対応すること、わくわくするような図書館としての魅力づくり、幅広い世代に対する身近で親しみやすいサービスの充実などの取組を具体的に進める中で、県立図書館が、地域の知の拠点として、多様な利用者や住民の学びを支え、幅広い観点から社会貢献や地域発展に寄与できるよう、中長期的な在り方の整理にもつなげてまいりたいと考えております。 30: ◯議長中本隆志君) 次回の本会議は九月二十六日午前十時三十分から会議を開き、引き続いて質問を行います。  本日はこれをもって散会いたします。         午後二時五十六分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...